本記事では所有する不動産が空き家になることで、相続時に発生する問題について取り上げています。
近年では高齢の親が他界し、空き家となった持ち家を相続するときに「空き家問題」に直面する人が増えています。
空き家を相続した時にはどのような問題が起こり、どのように対処をする必要があるのでしょうか。
空き家と相続で発生する3つの問題点
空き家を相続すると以下のような問題が生じます。
①空き家の維持費が発生する
相続した空き家はそこに住んでいなくても、維持コストが発生します。
例えば毎年所有者に課される固定資産税、水道光熱費の基本料金などが挙げられます。
また、物件の内装、外装に経年劣化が生じるため、リフォーム費用がかかる場合もあるでしょう。
②火災保険料は加入対象外?加入できたとしても高くなる?
住宅を所有する時に加入する火災保険ですが、空き家の場合はどのような取り扱いになるのでしょうか。
空き家の場合は、火災保険加入時には人が住むことを前提としている、「居住物件」ではなく店舗や事務所などと同様の「一般物件」扱いとなります。
不動産は人が常に住んでいるか、そうでないかで火災リスクが異なります。
人が住んでいれば未然に防げる火災でも、人がいないことで被害が大きくなる可能性があるため、空き家は火災保険加入時に「一般物件」扱いとなり、保険料も高く徴収されます。
また、物件が空き家となって長い年数が経過しており、長期化、劣化・老朽化の状態によっては火災保険に加入できない場合もあります。
【地震保険にも加入することができない?】
空き家は地震保険にも加入ができないとされています。
地震保険は被災した家を再び人が住んで生活再建できるようにするのが目的の保険です。
人が住んでいない建物にはかけることができません。
③特定空き家への指定による取り壊し
平成27年に空き家対策をさらに強化するため、「空き家対策特別措置法」が施行となりました。
この法律は空き家の状態が続いている建物に関して、市が把握している固定資産税情報を基にして、所有者の調査などを行える法律です。
居住などの使用がされていないことが常態化(1年以上)している建築物を「空き家等」として、その中でも倒壊の危険性が高い建物、著しく衛生上有害な状態、著しく景観を損なっている状態の空き家を「特定空き家」としています。
行政は特定空き家の所有者に対して、取り壊し、修繕をするように助言、指導を行い、従わない場合は勧告を行うことができます。
なお、勧告に従わない場合は固定資産税の住宅用地特例が除外されて、高額な固定資産税の支払い義務が生じるというペナルティが課されます。
空き家を相続する前は資産価値の有無を判断しよう!
相続の前後に関わらず、推定相続人は空き家に資産的な価値があるのかを考える必要があります。
資産価値がある場合は相続してもメリットもありますが、資産価値がなければ相続放棄も視野に入れる必要があります。
空き家の資産価値の判断基準とは?
空き家の資産価値の有無は不動産業者などに相談をすべきです。
例えば空き家そのものに価値がなくても、立地がよければ土地を高額で売却できるケースもあります。
同様に立地の良さからリフォームすることで、賃貸物件として活用できたりとネガティブなイメージの空き家も有効活用できる手段はいくつもあります。
空き家を相続するとき、すでに相続している場合はどのように対処をすればいい?
空き家を相続するとき、またはすでに相続している場合はどのように対処をすればいいのでしょうか。
すでに空き家を相続している場合
空き家をすでに相続している場合は、空き家の売却、有効活用を検討する必要があるでしょう。
空き家を売却すれば前述した維持管理コストに悩むことなく、スッキリと整理することができます。
有効活用できるかどうかは空き家に強い不動産会社に相談するなどして、一戸建ての賃貸として貸し出す、シェアハウスにする、民泊を行うなど様々な活用方法を検討することになります。
また、現在住んでいる家よりも、空き家となった物件の方がメリットがあれば、引っ越しをして現在住んでいる物件を売却、活用するという方法もあります。
生前の空き家対策はハードルが高い?
これから空き家を相続する可能性がある場合はできることは限られてしまうという実情があります。
よく、生前に売却を行うことを勧める専門家もいますが、「親が生きている間は今までの生活を維持してあげたい」、「親の介護、看病で忙しく生前の売却なんてとてもできない」という様々な理由からハードルはかなり高いと言えます。
相続放棄は簡単ではない
ネット上の記事では不要な空き家の相続放棄を簡単に促す記事も多いですが、相続放棄は相続人全員で行わなければならず、話し合いに時間を要します。
また、空き家だけを相続放棄することはできず、預金などその他の相続財産すべてを放棄する必要があります。
この点に関しては注意が必要でしょう。